私が韓国のテレビ番組にハマったのは、もう20年近く前のこと。あの頃と比べ、演出の仕方や表現方法がずいぶん変わって来ていると感じますが、あまり変わらないのがバラエティ。芸能人たちが素の姿をさらけ出し、有名女優のすっぴん顔だって拝めてしまうのは、日本のバラエティとはまったく違う面白さですよね。
三食ご飯と賢い医師生活がコラボ
彼が手がける番組はすべて高視聴率といわれ、韓国で国民にもっとも顔が知られているPDのナ・ヨンソク氏。「賢い山村生活」は、彼の代表作と言っても過言ではない「三食ごはん」が、「賢い医師生活」とコラボした番組(面白くないわけが無い)。涙のクランクアップから数時間後、余韻に浸る間も無く、99ズには山村での共同生活が待っていたのです。
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風情ある民家での共同生活
初日、ユ・ヨンソクが仕事のため参加できず、チョ・ジョンソク、チョン・ギョンホ、キム・デミョン、チョン・ミドの4名が、何が始まるのかとドキドキしながら、雨の中、民家にやって来ます。こんな田舎の山中に、とても良い雰囲気の漂うお家がポツンと建っているなんて、悪天候のことなど忘れ、みんないっきにハイテンションに。
そこにある物を、その場の思いつきで活用
彼らの貴重な共同生活は、自給自足を基本とし、朝・昼・晩の三食、全員が協力し合ってご飯を作り、一緒に美味しくいただくというのがコンセプト。この民家でまず行ったのは、雨よけの設置とかまど造り。試行錯誤の末に出来上がった、じゃっかん不格好の雨除けとかまどに、みんな大満足。それぞれの知恵や知識を出し合いながら、そこにある物を活用し、一から作っていく行程が楽しそうです。
近所の畑の野菜が採り放題?
近所の農家の方に許可をもらい、畑の野菜はすべて、タダで食べられるということで、食材には事欠かずに済みそうです。新鮮な野菜が採り放題となれば、山村生活も楽しさ倍増ですね。しかし、世の中にタダほど怖いものは無く、何と言っても、番組を取り仕切るのは、あのナ・ヨンソクPD。楽に生活させてくれるわけがありませぬ。必ずや裏には、彼らの興奮ぶりをぬか喜びに変えるような、意地悪なたくらみがあるに違いない。
山村生活でのご飯の味わいは
野外で作るご飯にはアクシデントもあり〜の、食べ終わり、やっと後片付けが済むと、またすぐに次の献立を考え〜の…です。「三食作るって大変だ」と、涙ながらにギョンホが嘆くひと幕もありましたが、断然楽しさの方が勝っていた山村生活。彼らが協力し合って作ったご飯の中で印象に残ったものと、それにまつわるエピソードをあげていきますね。
1日目の昼 すいとんと白菜チヂミ
山村生活の記念すべき最初のご飯は、野菜たっぷりのすいとんと、白菜チヂミ。白菜チヂミは、白菜の表面に粉を振ってさっと焼くだけ。単純な料理に思えますが、焦げめが実に美味しそうで、お酒のつまみにも良さげです。韓国の人って、ああいう白菜の食べ方するんですね。すいとんは、ミドが中心になり、とても美味しくできあがりました。野外での食事にすいとんを作るって、日本人だとあまり思い浮かばないかもですよね。
それぞれの得意能力を発揮
初日は、昼も夜もミドを中心に準備が進められている印象を受けますが、男の中に女が一人の構図ですから、自然とそうなってしまうのかもですね。それ以外でも、それぞれが自分の得意分野での能力を活かし、この時点で、山村生活の大まかな業務分担は、ほぼ確定したようにも思えます。ジョンソクとデミョンは、調理には疎いと見受けられましたが、火を起こしたり、お湯を沸したり、雑用係に専念。ギョンホは普段から料理男子なのか、メニュー決めにも積極的です。
2日目の昼 煮豚とビビンククス
お肉の登場に、みんな興奮状態。ククスは、この日のゲストのシン・ヒョンビン(ジョンウォンの恋人ギョウル役)の作ったタレが好評で、麺があまり好きじゃないジョンソクとデミョンも、ズルズルお腹に入っていくのでした。いやしかし、実際の映像を見て感じたのですが、プロのカメラマンは、料理の撮り方が上手ですねえ(当たり前ですが)。美味しさや匂いがビンビン伝わって来るようです。煮豚の表面のプルンプルンしたとことか、スープがお玉から器に流れるように入っていく、しなやかさというか何というか、本当に綺麗な映像で感激しちゃいます。
やはりそう来たか
ヒョンビンは差し入れを持って来たのですが、自給自足生活であることを理由に、キムチ以外は没収されます。また、野菜を貰っている農家の、収穫作業をみんなでお手伝いするようにと言われ、なるほど、タダで貰えるというのは、そういうことだったのですな。働いた分のお手当も支給されるので、野菜以外の食材や、その他必要なものは、そこから買えということでして。ここでもひとりひとりが個性を発揮し、黙々と作業をする人、器用にサッサと進んでいく人、やらかしてしまう人など、いろいろです。農作業後のご飯は、また格別。「泣きそう」「驚くほどうまい」と、みんなで協力し合って作ったご飯を褒めまくり。
3日目の夜 プルコギとチャプチェ
この日は、ユ・ヨンソクが遅れて合流し、彼の演じたジョンウォンの母親役だったキム・へスクも、ゲストとしてやって来ます。へスクさんが、手作りのおかずを大量に持参し、夜ご飯には、たくさんの種類のおかずが並びました。ヒョンビンが持参した差し入れは没収されてましたが、ヘスクさんはOKなんですね。そりゃそうだ、大御所女優からすれば、ナPDなどケツの青いひよっこ。せっかくの差し入れをお断りなんてできないでしょう。へスクさんが味付けしたプルコギのおかげで、とても豪華なご飯になり、みんな感動でした。
女料理長登場か?
ご飯作りにも積極的に参加し、「そうじゃない」「こうするのよ」と、いきなり料理長登場という感じです。みんなから「オンマ」と呼ばれ、ここは私の出番か?とばかり、張り切るヘスクさん。また、器用なヨンソクは、みんなのために大きめのテーブルを作り、そのクオリティの高さに称賛の言葉を浴びまくります。ヨンソクは、この後も椅子や棚などを作り、快適な山村生活のために大きく貢献します。
4日目の朝 キムチチゲと昨夜の残り
前の晩にミドもヒョンビンも帰り、この日の女性はヘスくさんのみ。いちばん早く起きて、前の晩に残した洗い物などを片付け、掃除も済ませていたことに、遅れて起床の男性一同、ひたすら焦ります。この日の朝ごはんは、調理中にちょっとしたアクシデントがあったためか、時間もかかり、昼近くなってやっとありつけました。
デミョンやらかすも結果オーライ
キムチチゲを調理中、少し水を足したほうが良いということになり、デミョンが準備した水を投入しましたが、量が多過ぎるとへスクさんに突っ込まれ、「やってもうたで~」という空気になりかけますが、ギョンホが味付けを工夫してカバー。最終的には、お水もちょうど良い分量だったようで、デミョンのグッジョブということで一件落着。ヘスクさん、この時に「これじゃスープよ、スープ!」と言って怒るのですが、チゲってそもそも汁物だし、スープみたいじゃダメなのか?と思ってしまった私。そこんとこの汁加減の違いが良くわからぬ。。
5日目の夜 辛うまイカ豚炒めとお味噌汁
いったん解散し、それぞれが仕事に戻りますが、再びギョンホ・ジョンソク・デミョン・ヨンソクが集合し、5日目からの山村生活です。これはイカと豚肉を甘辛く炒め、サンチュで包んで食べるスタイル。見ているこっちも、思わず食べたくなるほど美味しそう。作ったギョンホは「俺って天才か?」くらいの気持ちになっていたのでは?他にも大根の葉のお味噌汁も作り、これまた最高に美味しいと賞賛の嵐でした。
ナPDの旧知の友人 シン監督登場
この日はシン・ウォンホ監督がゲストとしてやって来ました。食後の軍資金を懸けてのゲームにも参加し、スタッフとの条件交渉を有利に進めるため、99ズにアドバイスまで。ちなみに、「賢い生活」シリーズは、コミカルな演出にセンスを感じておりましたが、シン監督が、「一泊二日」(ナPDプロデュース)が大人気コーナーだった「ハッピーサンデー」のPDだったと知り、なるほどね…納得しましたよ。交渉術を伝授するシン監督は、KBS同期のナPDから「余計なこと教えるなよ!」といちゃもんをつけられますが、どこ吹く風の表情で、99ズと一緒に作戦を練るのでした。
6日目の夜 煮込みハンバーグ(デミョン母の秘密レシピ)
珍しくデミョンが担当したこのおかず。お母さんが家族の誕生日に必ず作ってくれた煮込みハンバーグだそうで、母親直伝の料理を披露するあたり、「医師生活」のソクヒョンとオーバーラップ。みんなにも大好評でしたが、ひとり2個ずつ作ったつもりが、どこで間違ったのか数が1個足らず、そこだけがちょっと残念。
双子の実習生がやって来た
この日は、双子の実習生役を演じたチョ・イヒョンとぺ・ヒョンソンがゲストとしてサプライズ登場…のはずだったのですが、前日に来ていたシン監督が口を滑らせ、メンバーにはバレバレ。驚かせようと張り切っていた本人たちはがっかりですが、若きゲストの登場に、メンバーたちも普段以上にテンションが上がります。特にイヒョンに対して、おじさんたちはメロメロ。みんなでゲームなどしながら一晩を過ごし、翌日は畑仕事を手伝って、双子ちゃんは帰って行きました。
7日目の夜 牛ステーキとサムギョプサルと味噌チゲ
これは、豪華にお肉尽くしとでも言いましょうか、全員の食欲を大いにそそるおかずとなりました。牛ステーキは一次会・サムギョプサルは二次会・サムギョプサルを野菜やキムチと一緒に味噌で煮込んだチゲに、〆のご飯を入れての三次会と、料理ごとに時間を区切っての夜ご飯です。なんでもご飯に混ぜて食べる文化は韓国独特ですが、鍋の締めにご飯を入れるのは日本も共通ですよね。夜ご飯をみんなで食べるのは、この日が最後ということもあり、思い入れの深いご飯となりました。
チョン・ムンソン、いい味出してる
豪華にお肉を食した日の日中、畑仕事をしながらジョンソクたちが待ち構えていたのは、ゲストのチョン・ムンソン。ドラマでは、胸部外科チーフレジデントのト・ジェハクを演じました。前日からの仕事で、一睡もしていないというのに畑に直行させられ、着いた途端、一緒に作業をさせられるはめに。何も食べていなかったそうで、さぞや疲れたに違いありませぬ。彼のどこか脱力した物言いや動きが、なんともいい味を出しております。他にも、いったん仕事に戻っていたヨンソクが、畑作業の途中から加わり、男たちは力を合わせて重労働に取り組んだ1日でした。また、ジョンソクとデミョンが食材の買い出し中、やはり仕事に戻っていたミドが1週間ぶりに合流、99ズは全員顔を揃えました。
心に残るシーン
この「賢い山村生活」は、意図せぬ出来事への感動や笑いなど、心を揺さぶるシーンが随所に隠れています。ドラマの余韻をどこまで引っ張れというのか、韓ドラの演出には心を持って行かれっぱなしでございます。
デジャブ?
この、みんなの記憶に残るドラマの最終回シーン。黄昏時の空を眺めながら、それぞれが思いにふける場面がありましたよね。山村生活にも、美しい夕日を眺めながら、一緒に過ごした仲間たちとの別れにしんみりとする場面があります。それはまるで、デジャブかしらん?と思うほど。99ズが自給自足生活をしたこの場所は、それはそれは景色が良く、こんな素晴らしいところで、最後に一緒に生活できたことへの喜びと感謝の気持ちに浸る、みなさまなのでした。
ギョンホの恋人との会話が何気に素敵
山村生活をすっかり気に入ったギョンホとデミョンは、番組の撮影だけでは物足りなく、プライベートで遊びに来ても良いかとスタッフに交渉。すんなりOKが出て、二人だけでやって来て、一晩飲み明かします。雄大な景色をつまみに飲んでいると、ギョンホに恋人から電話が。彼が少女時代のソヨンと交際していることは有名過ぎる話ですが、本人たちも、二人の会話がテレビで放送されることなど、ちっとも気にしていない様子で、「ほら」と言って、携帯ごしに景色をソヨンに見せるギョンホが何気に素敵。
農作業は続くよ、最後まで
山村生活を続けていく中で、避けて通れなかった農作業。有名俳優(女優)たちの、畑で奮闘する姿が見ものです。少しでも良いおかずを作り、できればお肉なんかも買いたい彼らは、畑仕事への労力を惜しんではいられませぬ。特に、任された仕事の中でも壮大だったのが、とうもろこし畑の刈り取り作業。収穫後のとうもろこし畑は、見渡す限り、枯れた茎だらけ。これを全て刈れば、破格の(!)賃金を得られるというわけで、全員が力を合わせて取り組んだのでした。
全員が涙で視聴 「賢い医師生活」最終回
ステーキやサムギョプサルを食べた夜、その日がちょうど「賢い医師生活」の最終回放送日ということで、産婦人科レジデントでソクヒョンの恋人役だったアン・ウンジンも途中参加し、視聴会となりました。自分のシーンに照れたり、思い出に残るセリフに涙したり。その中でも、詐欺被害にあったジェハクが、お金を取り戻せたと号泣するシーンが本当に感動的。私もこのシーンでは大泣きしました。ミドも「本当にかわいそうだったから」と涙を流します。この最終回のBGMには「Butterfly」という曲が流れ、その曲がまた更なる感動を呼ぶ効果絶大だったと思うのですが、U-NEXTの配信では別の曲が流れます。いろんな大人の事情ですかねえ。
見ている私たちを幸せにしてくれる99ズ
あっという間に見終わってしまった「賢い山村生活」。「賢い医師生活」の感動が蘇り、大いに楽しませてもらえたバラエティでした。ところで、放送の中では、ミュージカル俳優が多く出演したこともあってか、ギョンホが「지금 이 순간(チグミスンガン)」をミュージカル風にふざけて歌ったり、ムンソンとミドが歌う場面もあったかと思うのですが、それはU-NEXTでは配信されていません。これも大人の事情で編集されたんですかね。ちょっとだけ残念。しかし、見ている私たちの心を幸せな気分にさせてくれる番組ですので、まだ見ていない方は、ぜひごらんくださいませ。