楽しく視聴していた「イルタスキャンダル~恋は特訓コースで~」ですが、先日見終わりました。日頃、ドロドロ評論家を自負しているワタクシが、またもやまんまと夢中にさせられてしまった、最高に幸せになれるラブコメでした。やっぱ韓ドラは、老若男女を問わず、ガッツリはまれる素晴らしいエンタメだということを、つくづく実感した作品なのでした。
イルタスキャンダルはここが面白い
有名塾のスター講師とされるチェ・チヨルと、塾に通う少女の叔母であるナム・ヘンソンの、笑いあり涙ありの痛快ラブコメディ。また、ヘンソンの家族やチヨルのスタッフ・生徒や生徒の母親たちなど、二人を取り巻く人々との間で起きるドタバタな出来事と、それを二人がどう解決していくかが、このドラマの見どころだと思います。
ヘンソンの惣菜店がとても素敵
ヘンソンが友人と二人で切り盛りしているお店「国家代表 惣菜店」が、このドラマの雰囲気を盛り立てていて、とてもいい感じです。上の写真でもわかるように、お店の外観も可愛いし、いつもヘンソンが乗っているスクーターと共に、とても映えております。扱う商品が「お惣菜」ってところも、すごく庶民的で好感持てますが、「国家代表」ってのも、あまり他では聞かないネーミングで、興味深いですよね。この「国家代表」の理由は、キャストの紹介で「ああ、そうなんかい」と、理解していただけるかと。
チヨルの講義はもはやエンタメ
ドラマの中では、このチヨルの講義が見もの。受講生たちの心を引き付けて離さない、その話術とパフォーマンスが、まさにトップスター講師(タイトルのイルタとは、いちばんのスターという意味で、チヨルはイルタ講師というわけ)という感じです。講義中のお決まり台詞もカッコ良く、テンポの良い進め方が、普通の塾講師とは違う、彼だけが持つ魅力。貫禄もあり、独特のカリスマ性が伝わってくるのでした。
ナム家のアットホーム感に癒される
このドラマを見ていて、とても心がぬくぬくしたのが、ナム・ヘンソン一家のあちらこちらに垣間見る、温かい家族愛です。月一で家族一緒にチキンを食べながら、ヘンソンの弟ジェウが選んだ映画を観る「チキンデー」は、大切な家族イベントとなっております。毎回、「今日はチキンデーだよね!」と、家族で盛り上がる様子に、この一家の幸せがギュっと詰まっているように思えましたです、はい。
表向きは仲良し、心の中はバチバチな母親たち
子供のためなら高額な塾代も何のその。人気講師の講義を良席で受けさせようと、整理券の行列に早朝から並ぶオンマたち。早起きなんか屁でもない…ってわけで、その行列に向かう道中では、教育ママゴン(いつの時代の言葉だよ)たちの運動会が今日も開催されるのでした。定期的に母親同士集まってのお茶会は、テストやお勉強の情報収集のため。表向きはみんなニコニコ笑顔を振りまいていても、お互いをけん制し合い、心の中にメラメラと戦いの炎を燃やしているのですよ。
友情を育む子供たちに救われる
母親たちの、お受験に向けての戦いが白熱する中、子供たちにも焦りが出始め、余裕が無いまま心が壊れていく子もいるのですが、ヘンソンの姪っ子ヘイや、ヘイのまわりの友人たちは、熱い友情で固く結ばれています。日々勉強に追われながらも、お互いを気遣い、励まし合うのです。常識外れの親たちとはまったくの正反対、汚い計算も欲も無く、とても純粋なのですな。
イルタスキャンダルの登場人物
このドラマを盛り上げる主要な登場人物たちは、みんな個性豊かで魅力的。そんな彼らに対する、ワタクシ的な感想をまとめてみました。
ナム・ヘンソン(チョン・ドヨン)
「国家代表 惣菜店」の社長で、シングルマザー…と思わせつつ、実は結婚歴は無し。姉が娘のヘイを置いていなくなってしまい、当時まだ小さかったヘイを、ヘンソンが母親代わりとなって育ててきたのです。ハンドボールの韓国代表でしたが、ヘイを育てるために競技生活もあきらめました。ドラマの中では、泣いたり笑ったり怒ったり、感情豊かで超陽気なキャラです。ついこの間見た映画「非常宣言」の国土交通大臣とはまったく異なり、チャキチャキの江戸っ子のような女性で、明るく、いつも走り回っています。彼女もこんな役を演じるのかと、とても意外でしたが、どんな役柄にもすんなり順応、本当に女優は偉大。
チョン・ドヨンさん、可愛すぎますって
ナムギルさんとの共演映画「無頼漢」のキム・ヘギョンと比べても、絶対に同一人物とは思えない、この天真爛漫さ。どこを切っても「可愛いドヨンさん」で、金太郎あめ状態ですから。チヨル先生を見つめる時の表情なんて、本当に乙女でしたよ。いやマジです、嫌味抜きで。上の2つめの写真なんか、「え?夏目雅子?」って思ったくらいにして。あんな少女のように可愛い女性を、自然に演じていたドヨンさん。チヨルとふざけるシーンでは、彼女が時々ぷっとふき出すことがあり、あれって素かな?と思ったりしました。そこがまた、演出上すごく良かったなあって思うのです。
チェ・チヨル(チョン・ギョンホ)
有名塾であるザ・プライド学院のトップ数学講師で、その価値は「一兆円の男」とも言われるほど超人気です。細身でイケメンで、更に優秀ときてますから、本当にこんな講師が存在するなら、まさに「一兆円の男」になれるでしょうね。セリフの言い方にしても、動きにしても、すごくスマートさが感じられ、とても素敵。厳しいように見えて、時々チラ見する優しさが、「賢い医師生活」のジュンワンを思い出しました。華やかな一面とは裏腹に、何を食べても吐いてしまう摂食障害持ちという役どころも面白いです。また、ヘンソンとのからみでは、気取っていても、ついかっこ悪い男をさらけ出してしまう、そのギャップがとても楽しめました。
笑えるシーン満載です
ジェウのスマホを壊してしまったチヨルが、怒ったヘンソンに追いかけられるシーン。ヘンソンの惣菜店に、こっそり変装をして入店し、おどおどしているシーン、交通渋滞で困り果てていたチヨルが、通りがかったヘンソンのスクーターに乗せてもらい、「ひょ~」ってなりながら、塾に向かうシーン。どれを見ても笑えます。
ナム、ヘイ(ノ・ユンソ)
ヘンソンの姪っ子です。お受験戦争の中、子供たちもどこかギスギスしがちだったりしますが、ヘイは、いつも家族や友人を思いやり、人の痛みがわかる人情味ある少女。演じたノ・ユンソが、健康的で可愛いいヘイにイメージぴったりです。目が大きくてはっきりした顔立ちが、とても特徴的。叔母ヘンソンの、女性としての幸せを考え、自分の夢をあきらめようとしたり、勇気ある行動ができたり、姪っ子でありながら「娘の鑑」と褒めてあげたくなるのですよ。
ナム・ジェウ(オ・ウィシク)/ キム・ヨンジュ(イ・ボンリョン)
ジェウはヘンソンの弟で、惣菜店で一緒に働いています。アスペルガー症候群ではありますが、ヘンソンやヘイの家族愛に守られ、毎日をたくましく生きています。演じたオ・ウィシクさん、2PMジュノの「油っこいメロ」に出ていたそうで。あのドラマはしっかり見ましたが、どこに出てきたのかさっぱり思い出せぬ。。しかしながら、このドラマにおいて、彼の演じるジェイにはいつも癒されましたし、笑わせてもらいました。純真無垢な子供の心のままのジェイが、愛しくなるほどでしたよ。
ヨンジュはヘンソンと同じく、元ハンドボールの選手。選手時代からの友人で、総菜店を共同経営しています。友人思いで、唯一ヘンソンにはっきり意見できる人。すごく心に残っているのが、ジェイに告白して、あっさり振られたと思った彼女が、あっはっはと笑い倒し、平気なようで平気でない、なんとも複雑な胸中をさらけ出すシーン。同じ女性として、こっちまで切なくなりましたぜ。ワタクシ的には「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」に出演していたのが、記憶に新しい彼女。彼女の他のドラマも見てみたいなと思わせてくれたのでした。
チ・ドンヒ( シン・ジェハ)
チェ・チヨル研究所の室長として、チヨルのスケジュールから体調から、すべて把握している人。一見、温厚で静かな性格に見えるも、チヨルに対する思いが強すぎて暴走してしまいます。チヨルにまとわりつく人間がとにかく疎ましく、チヨルが愛するヘンソンまでも消してしまおうとするような、歪んだ二面性を持ち合わせているのでした。ドラマの終わりが近付くにつれ、ドンヒの異常性が見えてくるのが面白かったです。この役は、彼にとって俳優としての新境地だったのではないかと。そういえば、どうでもいいことかもですが、ドラマに出てくる幼少時代の彼は…
こんなんですけど!!大人になってから相当痩せて、「整形した」と言われてしまうくらい、外観的に変貌を遂げたという設定でしたが、いやいや、痩せたくらいでああも変わるか?…なんて突っ込みたくなるワタクシ。
イ・ソンジェ(イ・チェミン)
両親は弁護士。兄が大学受験に失敗し、引きこもりとなってしまったことから、自分に対する母親の期待が大きすぎて、時々辟易とすることも。母親から冷たく突き放されている兄を心配する優しい弟で、勉強仲間でもあるヘイのことが好きなのでした。優秀ですが、おっとりしていて競争心も無く、いつもキリキリしている母親とは正反対の性格。イケメンで成績優秀、性格も良いときたら、こんな息子がいると嬉しいですね。ドラマ以外の話をすると、彼は現在、MUSICバンクのMCもやっているようで、これからの俳優さんって感じですかね。今後の出演作が楽しみです。
ソ・ゴヌ(イ・ミンジェ)/ チャン・ダンジ(リュ・ダイン)
この二人も、ヘイが特に仲良くしているクラスメイトたち。ゴヌはソンジェと同じくヘイが好きで、いわばソンジェの恋敵ですね。気になる三角関係の結末は?って感じでしょうか。彼は、ついこの間見た「車輪」にも出演していました。女の子に乱暴し、被害届が警察に出されると、逮捕されるのを恐れて自殺するという役でしたけどね。あまりにも役柄が違うので、まったく気づきませんでした。ゴヌのような役の方が合っているとおもいましたけどね。「車輪」ではちょっとしか出てこなかったし、印象に残らなかったもので。
ダンジは背が大きく、サバサバしていて、とても元気な少女です。主要キャストではあると思うのですが、ごめんなさい、ワタクシ的には、彼女の演技はあまり印象に残りませんでした。もしかすると、他のドラマでも見たとしても、すぐに気づけないかもです。違う役を見てみたいので、今後に期待しておりますよ。
チョ・スヒ(キム・ソニョン)
ヘイのクラスメイト…というよりは、ヘイをライバル視しているスアの母親(すみません、今回スアはここに紹介しておりませぬが…)。母親たちの中ではリーダー的存在ではあるものの、自分より上に出る人間を良く思わず、噂好きで、性格は決して良くないお方。娘のため、塾や試験の情報に日々アンテナを張っていますが、他の子を蹴落とすことにも必死。「ベイビーブローカー」にも出ていたこの女優さん、どのドラマでもいい味出しておりますが、ここでも大活躍。節操のない母親という役どころかと思いますが、見ていて「やな女だわ」と、心底思いましたもんね。存在感ありありの演技に拍手喝采ですわ。
チャン・ソジン(チャン・ヨンナム)
ソンジェの母親で弁護士。職業柄、プライドも高く、息子の試験結果を心配するあまり、弁護士でありながら犯罪に手を染めてしまいます。息子たちが自分の思いのままにならないのが歯がゆく、いつもキーキー言っております。チャン・ソジンの、歪んだ愛情を子供に押し付ける、異常な母親の演技はバッチリでした。他の母親たちの前ではクールでデキる女を装っても、家に帰れば長男は引きこもり、次男は言うことを聞いてくれないというジレンマが、こちらにヒシヒシと伝わりましたです、はい。
イ・ミオク(ファン・ボラ)
出ました、韓ドラのバイプレイヤー女王。このドラマではダンジの母親役を演じました。母親同士の付き合いでも計算高く立ち回り、常に自分に有利と思える人について行くお調子者。ですが、決して嫌な女には思えず、大げさな動きや表情がコミカルで、どこか憎めない可愛い母親に見えてきちゃいます(彼女って、話す時すごく鼻ふくらみますよね)。ファン・ボラってまだまだ若いと思ってましたが、高校生の母親を演じちゃうようになったんですね。彼女は本当に大好きな女優さんです。そういえば、たしか昨年結婚して、まだ新婚さんでは?リアルな妻となった彼女の、今後の役や演技に変化があるか、注目ですね。
ヘンソンさん スタイルブック
この「イルタスキャンダル」は、次回の配信が心底待ち遠しく、1週間が長過ぎましたぜ。指折り数えて待つとは、まさにこのことでございますな。印象深いシーンはたくさんありますが、ヘンソンがドラマの中で着ていた洋服がとても可愛く、ワタクシ的には、これを見るのも楽しみのひとつでした。お惣菜屋さんを営む女社長のスタイルとして、とても好感が持てたと思います。
花柄やパステルカラーのニット
特にキュートだったのは、花柄や明るい色のニット。カーディガンやベストなど、本当にキュートでした。女優チョン・ドヨンの私服って考えると、こういうの想像できないワタクシですが、ヘンソンのキャラクターには大ハマりのスタイルだと思います。ヘンソンが最高に可愛い女性に見えましたもん。スタイリストさん、チェゴ。
大きな襟のジャケットもお似合いです
大きな襟でショート丈のジャケットが、小柄な彼女にお似合いでした。
こんなのもありました
お家での歯磨きスタイル、整理券争奪戦スタイル、お部屋のお掃除スタイル… どれをとっても可愛くて目が離せません。チョン・ドヨンさんは、もう50歳になったんでしたっけ?10歳は若く見えます、おせじでなくて。彼女の女優としてのイメージとのギャップが、より可愛く見せちゃうんですよね。
イルタスキャンダルよ、ありがとう(涙)
「イルタスキャンダル」から伝わるメッセージは、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」とちょっと似ていると感じます。このドラマも、家族や仲間たちとの間にあふれる「愛」やら「人情」やら「団結心」やら、人間が生きていく上で大切なものを、教えてくれているように思えるのです。可愛らしい演出もそうですし、ラブストーリーの展開が気になるところも同じでした。ところで、ヘンソンとチヨルのような関係性は、現実的には有り得ないですね。絶対にとは言いませんが、まあ、無いだろうと思うのですよ。ドラマの中だからこそワンダフルで、うっとりするくらいビューティフル。こんな復讐・愛憎フリークなおばはんを、とても幸せな気持ちにしてくれ、お礼が言いたいくらいのドラマでした。